当院の新人教育プログラムは、看護部の理念を具現化するために、看護師の能力を引き出す院内教育を重視しています。術前・術後・リハビリ期を、在宅復帰に向けた一連の過程として意識し、看護展開を行えるよう、入職時研修から丁寧な教育プログラムを準備しています。入院時から退院を見すえ、患者さん一人ひとりに合わせた看護が実践できるよう、知識・技術・看護観を高めています。
看護師の能力を引き出すためには、看護師一人ひとりを理解した教育が必要です。当院は、中規模病院であるため、一人ひとりとじっくり丁寧に関わることができます。そのため、自分のペースで、自分らしく成長できると思います。
一つ一つの研修をパズルのピースとしてとらえ、すべての研修をつなぎ合わせて、自己の看護観を深めると同時に、「看護師としての自律性」についても考えを巡らせてほしいと思っています。
患者中心の看護を提供するために、根拠に基づく知識や技術を習得し、専門職業人として自律した看護師を育成する。
・看護過程を正しく理解し、展開した結果に責任を持つ。
・医療チームの一員として役割を果たすことができる。
・社会の動向、医療を取り巻く環境を踏まえ、専門職業人として自己研鑽できる。
当院では2010年度よりKKRキャリアラダーを導入し、看護師のキャリアアップを図っています。ラダーでは看護実践能力、人間関係調整能力、マネージメント能力、教育・研修能力等のカテゴリーに分類し、評価しています。対象者は当院に勤務している新人看護師以外の常勤看護師全員です。新人看護師は、新人教育プログラムをクリアすることを目標とし、この期間は看護師の基礎作りと位置付けています。
1.九段坂病院看護の第一歩。充実の入職時研修
入職時に新採用者オリエンテーションを行っています。九段坂病院職員としての心構え、接遇、医療安全、感染対策、メンタルヘルスなどの多様な講義の他、基本的な看護技術トレーニングを行っています。
教育目的・目標を確認し、 1年後の自分がどのように成長していくかを具体的にイメージしながら研修を進められるので一層理解が深まります。 また、研修最終日には、北の丸公園でのオリエンテーリングがあります。同期で入職した多職種と交流を持つことで、仲間意識が高まり、その後の質の高いチーム医療につながっています。
2.じっくり丁寧な少人数制の研修プログラムと多様な勉強会
当院での研修は、5名~15名程度の人数で行っています。人数に合わせて、効果的な研修内容を企画し、一人ひとりが着実な学びを得られるよう実施しています。少人数で、一人ひとりとじっくり丁寧に関わることができるため、安心してステップを踏むことができます。研修だけでなく、全看護職を対象とした多様な勉強会も準備しているため、立ち止まって自分の実践を振り返りながら、看護師として意識を高めることができます。
3.事例検討を柱とした看護観を育てる研修プログラム
当院では、看護師としての倫理観、自律性、責任感を育むことも重要であると考えています。そのため、看護師一人ひとりが経験した事例をもとにディスカッションを行う事例検討を多く行っています。多様な意見を聞きながら、自己の看護観を深めていくことができます。
4.E-ラーニング(ナーシング・スキル日本版)を導入しています
当院では、ナーシング・スキル日本版を導入しています。ナーシング・スキル日本版は、看護技術を動画とE-ラーニングで確認・習得するオンラインツールです。当院では、九段坂病院オリジナルのコンテンツを追加し、根拠に基づいた幅広い看護技術の手順・動画を自分の家のパソコンやスマホから、いつでも、どこでも、簡単にアクセスができる環境が整っています。研修の事前課題にも活用でき、新人看護師から中堅看護師まで、充実した研修を実施することができます。
5.KKRシミュレーション・ラボセンターを活用したシミュレーション教育
国家公務員共済組合連合会には、シミュレーション・ラボセンターがあります。シミュレーション・ラボセンターでは、医療の質の向上・安全管理のための研修及び各種シミュレーターによる研修を行える環境が整っています。当院では、急変時の看護Ⅰ・Ⅱの研修をシミュレーション・ラボセンターで行い、緊急時における知識と実践力を強化しています。また、そのスキルを維持できるよう、院内でのトレーニングを定期的に実施し、インストラクターの育成にも力を入れています。
6.看護学生実習の受け入れ
当院では、数多くの看護学生の実習を受け入れています。当院での実習を通して、大学での学び、看護の理解がより一層深まるよう、経験豊富な看護師が指導を行っています。看護基礎教育を行う教育機関との連携を大切に、充実した実習を行えるよう学生のサポートも行っています。